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(11)生きるべきか死ぬべきか To Be or Not To Be/1942年アメリカ 監督 エルンスト・ルビッチ 出演 キャロル・ロンバード、ジャック・ベニー、ロバート・スタック、アドルフ・ヒトラー??? ★2年前の1940年にチャップリンの『独裁者』が作られました。 ★ルビッチは本作に続いて『天国は待ってくれる』(カラー)を完成し、2本の未完作を残して他界します。主演のキャロル・ロンバードも、本作完成後、飛行機事故で亡くなりました。34歳。クラーク・ゲーブルの妻でした。 この種のコメディの走りがハワード・ホークスの『特急二十世紀』(1934)で、これにもロンバードが主演している。この年に作られたもうひとつの傑作コメディが、何を隠そう、キャプラの『ある夜の出来事』なのであります! クラーク・ゲーブルが出とりますです。 ★日本初公開が1989年。私は9月16日に吉祥寺の「ジャヴ50」で観ました。《期待にたがわずおもしろい。なにしろ1942年製作というのがすごい。テッテー的にヒトラーをコケにしている。これを観ないと大損。映画自体が一つの大きなギャグになっているのだから。破壊されたワルシャワに進駐してくるナチ軍の不気味さはどうだ。それを芝居でコケにしてしまう発想は並じゃない。云々》 12月15日にもまた観て《2度目でもおもしろさに変わりはない。大傑作。》とメモした私でした。 ★映画はそのワルシャワにヒトラーが出現するところから始まります。……それはさておき、おしどり舞台俳優のマリア(ロンバード)とヨーゼフ(ベニー)は「ハムレット」で大当たりを取っています。ただしマリアには若いツバメ(スタック)がいて、夫がステージでハムレットの長ぜりふを気持ちよくしゃべっているヒマを盗んで、楽屋でデート。なので、「生きるべきか死ぬべきか」が始まると席を立つ客がいるものだから、ヨーゼフは怪しみ、私たちは笑う。ま、こんなのは、ほんのちょっとしたクスグリですが、オチにも効かせてあるのがニクイ。ロバート・スタックといえば、後年テレビの「アンタッチャブル」でエリオット・ネスを演じ続け、よもや忘れられない面相の御仁。本作では彼ツバメ氏がナチスのスパイを発見するのです。ネスの前身か? 劇団の存続を賭けてスパイを捕らえ、さらにはポーランドをも脱出しようと目論む役者たち。いやあ、役者やなあ! ★役者の世界が映画の世界でもある、この二重性をルビッチは最大限活用しています。笑いもサスペンスも、そこから生まれる。加えてテンポと間がすばらしい。スパイが本人かどうか確かめるのに、付け髭かどうかを調べるくだりがあります。話の運びはすっかりボードヴィル風なのですが、それがやがてヒトラーの鼻下ひげにまで拡張されて、ドタバタが批評にまで盛り上がります。ドイツ軍の飛行機を乗っ取るなんてお茶の子です。総統が「飛べ」と言えば、操縦士は落下傘なしでジャンプするのですから。映画も、ためらったりせずに、どしどし先へ進む。それから、怖いような間。 ★「ハムレット」を読み直してから観るのもよいのでは。ただし、レンタルでは無理かもしれません。わが所有にかかる’95年発売のVHSテープには「レンタル可」と書いてありますが。 ★読み終えたばかりの池波正太郎著『食卓のつぶやき』朝日文庫版は、映画の話もあれこれあって嬉しい一冊ですが、本作も出てきます。ただし、池波先生が観たのはメル・ブルックスのリメイク版『大脱走』で、本作ではありません。改行なしで一部引用すれば: 《……私は、どうもブルックスが好きではなかったが、今度はおもしろかった。第二次大戦中に故エルンスト・ルビッチがつくった映画の再映画化だから、何といっても、喜劇の骨格がしっかりしている。前のときは、ルビッチがジャック・ベニイとキャロル・ロンバードを起用したというから、さぞ、よかったろう。今度の監督も、うまくまとめてあったが、いかに達者でも、ルビッチのような東欧特有の〔お色気〕が出ない。それを辛うじて出していたのは、名傍役のチャールス・ダーニングだった。ヒットラーの子分で肥大漢のゲシュタポの大佐(敵役)に、何故お色気なのか……そこがわかると、この映画のおもしろさは層倍のものとなるのである。》 (※括弧内の数字は整理番号です、順位ではありません。) |
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